下肢の後遺障害・下肢を骨折してしまったら?

下肢の後遺障害について

下肢とは、股関節から足先までを指します。
交通事故により、膝関節、足部、股関節に生じた傷病による後遺障害は、①欠損障害、②機能障害、③変形障害、④醜状障害の4つが後遺障害等級認定の対象になります。
以下では、下肢の傷害としてよく見られる大腿骨骨折について解説します。
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大腿骨頚部骨折

大腿の上部は、大腿骨頭、大腿骨頚部、大腿転子部と呼ばれる部位で構成されています。
大腿骨頚部骨折は、骨粗鬆症のお年寄りに多い傷病名であり、ちょっとした接触による転倒でも起こります。交通事故では、自転車や原付が自動車と衝突したという事故で、自転車や原付の運転者に発生することが多いです。
痛み、腫れ、関節の可動域制限といった症状が起こります。
 
治療方法としては、大腿骨頚部の連続性が保たれている亀裂骨折では、手術をせず保存的に治療する方法が選択されます。
しかし、長期間ベッドで安静と牽引が必要となるため、寝たきりとなってしまうリスクがあります。
 
そこで、早期離床を目指す観点から、折れてしまった大腿骨頭と大腿骨頭の受け皿にあたる寛骨臼を人工骨頭に置換する人工骨頭置換術や、転位が少ないケースでは、骨折した大腿骨頭を、キルシュナー鋼線等で固定するCCHS固定術が行われることがあります。
人工骨頭に置換された場合は、1下肢の3大関節の1関節の機能に著しい障害を残すものとして、10級11号が認定されます。
CCHS固定術が行われた場合、早期に症状固定すると12級7号に認定されることがあります。
 

大腿骨転子部骨折

大腿骨頚部骨折と同様、高齢者に発生しやすい傷病名です。交通事故では、自転車や原付が自動車と衝突したという事故で、自転車や原付の運転者に発生することが多いです。
痛み、腫れ、関節の可動域制限といった症状が起こります。  
ただし、大腿骨頚部骨折に比べ、血液供給が良い場所ですので、骨癒合は比較的良好です。
転位や痛み等症状が軽度の場合は保存的治療が選択されることもありますが、早期離床の観点から、エンダー法やCCHS法といった手術が選択されます。
早期に症状固定した場合で、股関節に4分の3以下の可動域制限が認められる場合は12級7号が認定されます。
 

下肢の後遺障害について

交通事故に遭い、足に後遺障害が残る場合があります。下肢は3つの関節(股関節、膝関節、足関節)で構成されていますが、下肢の後遺障害は主に骨折や脱臼、神経損傷などによって引き起こされます。
 
下肢の主な後遺障害の症状では、「骨癒合が不良である」、「骨折した下肢の長さが短縮した」、「足の稼動域が制限されてしまった」などが挙げられます。
 
下肢の後遺障害の認定基準は以下の通りになります。
 

下肢の後遺障害の認定基準

①下肢の欠損障害

等級 認定基準
1級5号 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
2級4号 両下肢を足関節以上で失ったもの
4級5号 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
4級7号 両足をリスフラン関節以上で失ったもの
5級5号 1下肢を足関節以上で失ったもの
7級8号 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
 

②機能障害

等級 認定基準
1級4号 両下肢の用を全廃したもの
5級5号 1下肢の用を全廃したもの
6級7号 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級10号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
 

③変形障害

等級 認定基準
7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級9号 1下肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの
 

④短縮障害

等級 認定基準
8級5号 1下肢を5㎝以上短縮したもの
8級相当 1下肢が5㎝以上長くなったもの
10級8号 1下肢を3㎝以上短縮したもの
10級相当 1下肢が3㎝以上長くなったもの
13級8号 1下肢を1㎝以上短縮したもの
13級相当 1下肢が1㎝以上長くなったもの
 
下肢の後遺障害の等級認定においては、上肢同様に可動域の測定が非常に重要です。可動域の測定が適正に行われなかったために、本来得られたであろう等級認定が得られない場合もあります。可動域の測定においては、可動域測定のノウハウを持った専門家のサポートが必要と言えます。
 
交通事故に遭い、このような症状をお持ちの場合、後遺障害が残っている可能性があります。適正な後遺障害等級の認定を得るためには、個別に適切な対応方法を取らなければなりませんので、お気軽に当事務所までご相談下さい。
 
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